七つのヘルメスの法則は、古代エジプトの思想家であるトート(ヘルメス・トリスメギストス)によって書かれたとされる神秘的な文書、エメラルドタブレットに記された原理をより詳細に説明したものと捉えることができます。つまり、エメラルドタブレットが宇宙の根本原理を簡潔に示す「公式」のようなものであれば、七つの法則はその公式を解き明かすための「解説書」のようなものと言えるでしょう。
宇宙の普遍的な法則とされる七つの原則です。この法則は、錬金術や神秘主義、そして現代のニューエイジ思想にも大きな影響を与えています。
ヘルメスの法則を見る前に、まずはヘルメスについて説明していきます。
ヘルメスという名前は、複数の文化や神話の中で登場し、それぞれ異なる意味合いを持っています。最もよく知られているのは、ギリシャ神話に登場する神でしょう。
ギリシャ神話におけるヘルメス
- 神々の使者: ゼウスの息子であり、神々の間を駆け回り、メッセージを伝達する役目を担っています。
- 商業の神: 商売や旅行の守護神としても崇められ、商人や旅人の間で人気がありました。
- 盗みの神: 巧妙な手口で盗みを働く一面も持ち合わせており、このことから機知に富んだ人物の象徴としても捉えられています。
- カドゥケウス: ヘルメスの象徴的な持ち物である、二つの蛇が巻き付いた杖は、医療や平和の象徴としても知られています。
その他の文化におけるヘルメス
- エジプト神話: トート神として知られ、知恵、書記、月の神として崇められていました。
- 錬金術: ヘルメス・トリスメギストスという名で、錬金術の祖として尊ばれ、宇宙の秘密を解き明かす鍵を握る人物とされています。
- ニューエイジ: 七つのヘルメスの法則という思想体系の創始者として、現代のスピリチュアルな思想にも大きな影響を与えています。
七つのヘルメスの法則
メンタリズム(精神一元論)万物は精神であり、宇宙は精神的なものである。
宇宙は意識や精神によって創造され、すべてのものはその一部であるという考え方です。私たちの思考や感情が現実を形作るという概念に通じます。
対応の法則 上なるものは下なるが如く、下なるものは上なるが如く。
宇宙のあらゆるレベルにおいて、対応関係が存在するという法則です。マクロコスモス(宇宙)とミクロコスモス(人間)は、互いに反映しあっているという考え方です。
振動の法則 何も静止せず、全ては動き、全ては振動している。
宇宙のすべては振動しており、その振動の周波数によって異なる現象が生じると考えられています。物質もエネルギーも、本質的には異なる振動状態であるとされています。
極性の法則 万物は二元的であり、すべては極を持ち、すべては対となる反対物を持つ。似ているものと似ていないものは同じであり、反対物も本質は同じだが程度が異なる。極端は合致し、すべての真理は半分の真理に過ぎず、すべての矛盾は調和される。
万物は対立する二つの極を持つという法則です。光と闇、善と悪など、すべての現象は相対的なものであり、両極は互いに依存し合い、一体となっているという考え方です。
性(ジェンダー)の法則 性は万物の内にあり、すべては男性性原理と女性性原理を持っている。性はあらゆる次元において現れる。
万物に男性性と女性性の原理が内在するという法則です。これは単なる生物学的な性だけでなく、創造性と受容性、活動性と受動性など、より広義な意味での男性性と女性性を指します。
リズムの法則 万物は出入りし、すべては潮汐を持ち、すべてのものは盛衰を繰り返す。振り子の動きは万物のうちに現れ、右への振れの大きさは左への振れの大きさに等しい。リズムは補償する。
宇宙のすべてのものはリズムを持って変化しているという法則です。成長と衰退、昼と夜、満ち潮と引き潮など、あらゆる現象にリズムが見られます。
因果の法則 すべての原因には結果があり、すべての結果には原因がある。すべては法則に従って起こる。偶然とは認識されていない法則の名に過ぎない。因果関係には多くの次元があるが、いかなるものも法則から逃れる事はできない。
すべての現象には必ず原因があり、その結果が生まれるという法則です。偶然に見える出来事も、実は何らかの法則によって引き起こされていると考えられています。
七つのヘルメスの法則は、古代から現代に至るまで多くの思想家や哲学者に影響を与えてきました。これらの法則は、宇宙の神秘を解き明かす為の鍵であり、自己成長や精神的な探求の指針としても役立つと考えられています。