死者からの電話
第二次世界大戦中のロンドンで、女優アイダ・ルピーノの父であるスタンリーは、遺言を残さずに亡くなりました。しかし、彼の死後6か月が経ったある日、ルピーノの元に驚くべき電話がかかってきました。それは、亡きスタンリーからで、重要な書類の置き場所など、財産に関する情報を伝えるためだったといいます。電話を受けたルピーノは、声が生きていた時とまったく変わらないと感じたそうです。死者からの電話に関する報告では、電話の鳴り方が普通である場合もあれば、異常な鳴り方をすることもあると言われています。
死者に電話をかける
逆に、生者が知らずに死者に電話をかけてしまうケースもあります。例えば、ある女性が数年間会っていない友人の夢を見た後、その友人に電話をかけた話があります。夢の中で彼女は、友人が血の池に滑り落ちる不安な光景を目にしました。目覚めた彼女は心配になり、すぐに友人に電話をしました。友人は電話に出て、彼女は一安心しましたが、実はその友人はすでに6か月前に亡くなっていたのです。この事実は後に親戚から告げられました。
心霊電話現象の研究
研究者の調べによれば、死者からの電話は、亡くなってから24時間以内にかかってくるケースが多いようですが、2年後に電話があったという記録も残っています。これらの現象には、電波障害や雑音が含まれることがあり、接続が悪くなったり、他人の声が混じることさえあります。死者からの電話が切れるときには、通常の「カチリ」という音が聞こえることもありますが、電話会社に問い合わせても、通話の証拠が残っていないことが多いようです。
心霊電話の解釈
心霊電話現象にはいくつかの解釈があります。一部の人々は、死者が電話の回路や機械を操作していると考えています。別の解釈として、霊体や悪霊が生者に悪戯をしているという説や、受け手の強い感情がサイコキネシス(念力)を引き起こし、幻覚的な体験として現れるという説もあります。また、これらの現象は単なる空想に過ぎないとする見方もあります。
超心理学と心霊電話
超心理学者の中でも、心霊電話現象を真剣に考える者は少ないです。20世紀初頭には、幽霊の声を捕捉しようと、電話や無線装置を改良した研究が盛んに行われました。トーマス・エジソンも、生者と死者をつなぐ電話を発明できると信じていた一人でしたが、彼が生涯その装置を完成させることはありませんでした。
意図電話
死者からの電話に似た現象として、「意図電話」と呼ばれるものもあります。これは、かける意志があるものの実際には電話をかけていないにも関わらず、相手がその電話を受け取るというものです。たとえば、緊急時に外科医が突然病院へ呼ばれたり、牧師が死にかけている人に終油の秘儀を授けるために呼ばれることなどが挙げられます。
UFO目撃者の中には、メン・イン・ブラック現象と似た「心霊電話」を経験していると報告する者もいます。彼らは、体験を誰かに話す前に、見たことを忘れるようにという警告の電話を受けることがあります。これらの電話は、心霊現象というよりも、より現実的な恐怖に近いように思えます。
死者からのメッセージは、時代を超えて様々な通信手段を通じて伝えられてきました。ラジオ、電話、テレビ、そして現代ではスマホやパソコンのメール、SNSなどもその手段の一つです。心霊電話の現象を信じるかどうかは人それぞれですが、古くから語り継がれるこの不思議な現象に今もなお多くの人々が魅了されています。
参考にした「妖怪と精霊の事典」は一家に一冊あると便利な、おすすめの書籍です。
去年見に行った映画でブラック・フォンがこの心霊電話現象をテーマにしてたので、興味のある方はぜひ見てみてください。